
管理職になると、「どう関わればいいのだろう」と迷う場面が増えていきます。
部下から相談を受けたとき。
仕事が思うように進んでいないとき。
本人に何か伝えなければならないとき。
話を聴いた方がいいのか。
具体的に助言した方がいいのか。
もう少し任せてみた方がいいのか。
正解がはっきりしないまま、それでも立場として判断し、関わらなければならないことがあります。
管理職には、管理職の難しさがある
人材育成について考えるとき、私たちはつい「部下をどう育てるか」「若手にどう関わるか」という視点から考えがちです。
けれど、管理職自身もまた、さまざまな役割や責任の中で仕事をしています。
部下のことを考えるだけではなく、組織として求められることもある。
業務を進めなければならない。
成果も求められる。
周囲との調整もしなければならない。
その中で、人にも向き合う。
「部下のために何ができるか」だけではなく、
「この対応でよいのだろうか」
「自分の判断は間違っていないだろうか」
と考えることがあるのも、自然なことだと思います。
「正しい関わり方」を探しすぎない
では、どのように関わればよいのでしょうか。
残念ながら、人との関わりには「この通りにすれば大丈夫」という一つの正解がありません。
同じ言葉をかけても、相手によって受け取り方は違います。
同じ人であっても、そのとき置かれている状況によって必要な関わり方は変わります。
だからこそ大切なのは、正しい言葉を探すことだけではなく、
「今、何が起きているのだろう」
と状況を捉えることです。
本人は何に困っているのか。
何を伝えようとしているのか。
仕事や職場の中で、どのようなことが影響しているのか。
そして、自分はどの立場からその人と関わっているのか。
一つの出来事を少し広く見てみることで、選べる関わり方も変わってきます。
聴くことは、「何もしないこと」ではない
管理職の方から、
「どこまで聴けばいいのでしょうか」
「聴くだけでいいのでしょうか」
という話を伺うことがあります。
相手の話を聴くことは、ただ黙って話を聞き続けることではありません。
何を話そうとしているのかを受け止め、必要に応じて問いかけ、整理しながら、次にどうするかを一緒に考えていく。
ときには管理職として、伝えることや判断することも必要です。
大切なのは、「聴くか、指示するか」の二択にしないこと。
その場面で何が必要なのかを考えながら、関わり方を選んでいくことだと思います。
迷ったときに、立ち戻れる視点を持つ
管理職だからといって、いつも迷わず判断できるわけではありません。
むしろ、人や組織にきちんと向き合おうとするほど、簡単には答えを出せないこともあります。
そんなとき、
「正解は何だろう」
だけを探すのではなく、
「今、何が起きているのだろう」
「相手には何が見えているのだろう」
「自分はどの立場から関わるのだろう」
と、一度立ち止まってみる。
すぐに答えが見つからなくても、状況を見る視点が増えることで、次の関わり方を考えやすくなることがあります。
管理職として迷わなくなることではなく、迷ったときに、どう考えるかを持っていること。
それも、人と組織に関わるうえで大切な力なのではないでしょうか。
※「人と組織の見立て」では、企業・保育・個人相談など、さまざまな現場で感じたことをもとに、人と組織の関係性について考えていきます。